どうも、元消防士のサイぞうです。
10年前ぐらいから始まった「予防技術検定」
消防職員ならば一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
ここ数年、取得のために勉強する職員が増えていますが、これって必要な物なの?
国家試験ではないため、救命士のように無いと活動できない資格でもない。
というか資格ではなく、検定なので貰えるものは合格通知のはがきのみ。
じゃあ、なぜみんな取得するために勉強するのか?
それは「立ち入り検査へ行くための知識が身につく」&「予防技術資格者」になれる。この2つです。
なので、結論としては取得したほうがこれからの消防人生には大いに役立つ!ってこと
火災、救急、救助などの訓練は日々行いますが、予防業務の訓練は、なかなか行いませんもんね。
そうなれば自分で勉強するのが一番早いし、消防法という法律を勉強することになるので間違いもない。
ってことで、予防技術検定について少しお勉強をしたいと思います。
これから取得してみようかな~と考えている方の参考になれば幸いです。
予防技術検定とは

予防技術検定とは、一般財団法人消防研究センターが実施している試験で
なかでも合格してからなれる「予防技術資格者」とは
消防本部及び消防署等の機関には、建築物の大規模化・複雑化等に伴い高度化・専門化する予防業務を的確に行うため、火災の予防に関する高度な知識及び技術を有する「予防技術資格者」を配置することとされています。ということ。
種類は3つに分かれており
「防火査察」「消防用設備等」「危険物」の3種類
択一式(マークシート方式 )で、2時間30分あります。
※共通科目の免除を受ける場合は1時間40分となります。
一番初めだけ「共通科目」というものを同時に受験しなければ合格することができません。
検定科目の「免除なし」で受検した場合は、共通科目と専門科目の合計60%以上の正答率で合格になります。
共通10問、専門科目20問なので、18問正解していれば合格ってことです。
共通科目が0点でも、専門科目が20問全て合っていれば合格出来るということになります。
ちなみに次に別の専門科目を受験するとした場合、共通科目免除ありと免除なしが選べます。
免除ありの場合は、専攻科目の正答が60%以上(20問のうち、正答が12問以上)で合格できます。
私は1回目の試験で共通科目が難しいと感じたので、2回目以降は共通科目免除で専門科目の20問のみの試験を受けました。
初めに合格して2回目以降は、自分で選択できるので、共通科目が得意な人は共通科目で点数を取る!って考えだと専門科目を多少間違えても合格することが出来るので、そっちを選択する人もいます。
現に私の友人も「共通科目は簡単だから免除なしで受けるよ~」と言っていました。
個人的には、防火査察が一番簡単で次に消防用設備、最後が危険物といった流れが王道ではないでしょうか。
好き嫌いがあるので自分の得意な科目から受けることをオススメします。ちなみに一度に3科目受けることは出来ないので、年1回の試験で全て取得するとしても最低3年はかかるっていう計算です。
受験資格は?

受験資格としては、4つあります。
①消防庁告示に定める講習(消防学校の専門課程)の課程を修了した人。各都道府県によって呼び名は違うかもしれませんが、専科だとか呼ばれるもので消防士になってすぐ入校する過程じゃないやつですね。
②大学、高等専門学校、大学院において、理工系又は法学系の学科又は、課程を治め卒業した人。高卒で入った人は対象外ですね。理工系、法学系のみってこと。
③大学、高等専門学校、大学院において、機械・電気・工業化学・土木、建築又は法律に関する単位を通算して20単位以上修得した人。これも説明のとおりで、私のような高卒は関係なし。
④予防業務に1年以上の従事経験がある方。消防職員なら、大抵はこの4番に該当する方が多いのではないでしょうか。消防職員2年目ならみんなこれに該当ですね。もちろん自所属の承認が必要なので試験を受ける際は、従事証明書を発行してもらってください。
で、合格すると「予防技術資格者」になるための従事経験が必要となります。
それが先ほどの①は予防業務を2年。②~④に該当する人は予防業務を4年となっています。
予防業務っていうのは、警防や救助ではなく、予防課で仕事をしているっていうことです。
兼務ではなく専門で予防業務をしている職員のことを指します。なので、合格しても予防課などで勤務をしなければ、いつまで経っても「予防技術資格者」にはなれないってこと。トホホ。
難易度は?

消防士になったばかりの人だと、勉強を進める上で「は?わけわからんよ。」って内容が出てくるかもしれませんが、ある程度年数を重ねている人なら、そこまで難しくはないのではないでしょうか。
「俺は今まで立ち入り検査なんか行ったことない!救助ばかりやってきたから。」という方も中にはいるはず。そういった方こそ、予防の基礎知識を身に着けるべく、この検定を受けることをオススメします。
そして、共通科目は消防の基礎となる燃焼に関する知識など、幅広く学べるので特に入ったばかりの職員は学ぶことが出来る良い機会だと思いますよ。
- 予防業務全般に関する一般知識
- 燃焼及び消火の理論に関する基礎知識
- 消防関係法令及び建築 基準法令に関する基礎知識
- 消防同意、消防用設備等又は特殊消防用設備等に関する基礎知識
- 査察並びに 違反処理及 び防炎規制に関する基礎知識
- 防火管理及 び防火対象 物の点検報告制度に関する基礎知識
- 火災調査に関する基礎知識・危険物の性質に関する基礎知識
- その他予防業務に必要な基礎知識
ざっとあげても、これだけあります。かなり幅が広いです。覚えるのも大変ですね。
合格率は例年50~60%台なので、そこまで難しい試験ではないという意見も多いです。
私はあまり予防業務が得意ではなかったので基礎から覚えるという意味では苦労しましたが、3か月ぐらい余裕をみてじっくりと教科書や過去問を解いていけば問題なく合格できると感じました。
とりあえず、合格だけはしたいという方は教科書を一通り読んで過去問を解く。そうしたらまた教科書を読んで過去問を解く。
わからない場所があったら、教科書と消防基本六法を読む。といった流れを取れば合格することは十分可能です。
過去問は購入しても良いですし、「近代消防」という月刊書籍の後ろのほうに毎回新しい問題が掲載されているので、それを何年分かを印刷しファイルに閉じて勉強するのもいいですね。
ということで、最低合格ラインを目指すためには「消防基本六法」「共通のテキスト」「受ける専門科目のテキスト」「近代消防の過去問」これだけあれば、とりあえずこれで勉強すれば合格できるのではないでしょうか。
建築基準法の問題については、先輩に聞くか何度も六法を読み直して、理解しないと難しいかもしれません。普段の業務では、あまり触れない内容ですからね。
勉強するなら暗記ではなく内容を覚えよう

そんなこと書かなくても、わかっとるわい!と言われそうですが、試験日が近づくにつれてどうしても詰め込み教育をしてしまいます。
近くに詳しい先輩などがいれば、なんでも聞くことが出来ますが、そうではない部署にいた場合は、教科書とにらめっこしながら、過去問のパターンを記憶するということになってしまいます。
私の場合は、後者でした。当時の部署には予防に詳しい人はあまりいなかったので、ひたすら過去問を解きまくる日々。
内容はあまり理解していないけど、問題は解けるといったあまりよくないパターンで覚えていました。
合格するも案の定、暗記で合格した部分もあり数か月経つと内容を忘れてしまい、立ち入り検査へ行く際も消防基本六法を見直すということが多かったです。
どんな試験でもそうですが、なるべく内容を理解しながら合格したいものですね。
どんな格好で試験に挑む?

これは所属の指示によるかもしれせんが、いわゆる「公費」で受ける場合はよっぽど出張扱いで試験に挑むことになるので、スーツで受けることが多いと思います。
それ以外の「実費」であれば、仕事の日ではなく休みの日に試験を受けることになるので、自分の好きな私服で試験を受けることになるでしょう。
「俺はスーツのが気合が入る!」という方は、スーツでもいいかもしれませんが堅苦しいですよね。自分はスーツを長時間着るのは苦手です。
書き忘れていましたが、令和3年度時点で受験料5700円です。
まとめ

予防技術検定っていうのは、合格しただけだとただの合格通知しかもらえない。その後に職場内で予防業務をすることによって「予防技術資格者」になれる。
種類は「防火査察」「消防用設備」「危険物」の3種類がある。初めは防火査察がオススメ
難易度はどれだけ基礎知識があるかによって変わるが、消防職員ならそこまで難しくない
効率的な勉強法は、教科書を読んで理解して過去問を解きまくる。消防基本六法を読んで法律ごと覚える。
受験日の格好は、仕事で受けるならスーツ。休みの日に実費で受けるなら私服でOK
ってところでしょうか。
テキストもそこまで、高くないので自己研鑽をするにはいい機会です。
仕事にマンネリ化を感じないためにも、資格取得は有効ですよね。
悩んでいても始まらないので、まずはテキストなどを購入して勉強を始めてみることをオススメします。試験を受けなかったとしても長い消防人生で約に立つことは間違いありません。
ちなみに私の場合は勉強好きではないので、なんとなく全体像を見るために問題集を解いてテキストを読むという行動を繰り返しました。そこまで集中していなくても何度かそれを繰り返すと頭に入ってきやすくなります。
専門書となると普通の書店では売っていないので、楽天市場などで購入するとポイントもついてすぐに届くし一石二鳥です。
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問題集とテキストをある程度読んだら、消防基本六法を読んでしっかりと意味を理解すれば忘れにくくなるので試験対策としてもこの方法が個人的には一番簡単な方法ではないかと思っています。
消防法は毎年更新され、常に新しい知識を身に着けておく必要があるので消防基本六法を買っておいて損はありません。
最近ですと、平成28年12月に発生した新潟県糸魚川市大規模火災の教訓を踏まえ、消防法施行令が改正されており、小規模な飲食店に対する「消火器具」の設置義務化されています。今までは小さな飲食店では消火器は置いていなくても問題なしでしたが、今現在は必ず消火器具が設置されていなければいけないという事になります。
このように日々消防法は更新されているため、一昔前の消防基本六法を現場で使うにはリスクしかありませんよね。
それではまたっ!
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